読売新聞社 共同企画

昭和を見つめた名建築の真価~村野藤吾建築の肌ざわり~

戦前戦後を通じ第一線で活躍した、日本を代表する建築家 村野藤吾氏。
昭和期に建てられた西武プリンスホテルズ&リゾーツが誇る3つのホテルにて、
彼の創意に満ちた造形美を存分にご覧いただけます。
武庫川女子大学建築学部教授・京都工芸繊維大学名誉教授の
石田潤一郎氏を監修者に迎え、
村野藤吾建築が今もなお多くの人々を魅了する秘密に迫ります。

建築家

むら とう (1891-1984年)

昭和を代表する建築家。佐賀県生まれ。早稲田大学理工学部建築学科卒。モダニズム建築から数寄屋建築まで多様な意匠と素材を使った建物の設計のほか、家具や照明など内装のデザインにも才能を発揮した。代表作に宇部市渡辺翁記念会館(山口県、重要文化財)、世界平和記念聖堂(広島市、同)や日本生命日比谷ビル/日生劇場(東京都)など。1967年に文化勲章受章。

村野藤吾
読売新聞社提供

Hotels ホテル紹介

ザ・プリンス
箱根芦ノ湖

富士箱根伊豆国立公園内の富士山を望む芦ノ湖畔に、箱根の自然に溶け込むように建つ「ザ・プリンス 箱根芦ノ湖」。ゆるやかに移り変わる箱根の四季を感じながら、芦ノ湖の湖面の輝き、風の音、波の音、鳥のさえずりなど自然のすべてに心癒やされます。「自然との完璧な調和」を何より重視し、「一木一石たりともみだりに変更してはならない」という村野藤吾の信念のもと、ホテル建設地に密生する樹木を一切伐採することなく設計・建築されました。湖畔の木々と一体になるような外観、華やかで美しい装飾の内観を併せ持ち、空間の細部にまで村野藤吾のこだわりが散りばめられたホテルです。

箱根の自然との一体感を感じられるホテル

砂岩の割石でできた壁柱の陰影が美しいロビー

うねるような曲線を描く螺旋階段

インド砂岩と有田焼の染め付けタイルの内壁が
印象的なメインダイニング「ル・トリアノン」

伊豆長岡温泉
三養荘

「伊豆長岡温泉 三養荘」は、三菱財閥の創始者 岩崎弥太郎の長男、久弥の別荘として昭和4年に建てられた本館と、村野藤吾の設計により昭和63年に建てられた現代数寄屋建築の新館から成る温泉旅館です。村野藤吾が手掛けた新館は、広大な敷地の中に客室がそれぞれ独立して専用の庭を持ち、それらが渡り廊下でつながれている様は「枝のように分岐し花が咲くよう」と称されました。民家の素朴で力強い造形を取り入れた玄関棟に対して、129畳敷きの大広間「雄峰」では、格式の高い空間に用いられる高度な天井意匠の小組格天井が取り入れられるなど、装飾性に富んだアクセントが唯一無二の空間を作り出しています。

村野藤吾の手による新館和室

こけら葺き屋根や土間が素朴な印象の玄関棟

畳敷きの廊下を彩る美しい光天井と飾り襖

本館と新館の間に広がる3,000坪の日本庭園
(※庭園の奥に見えるのは本館であり、
村野藤吾建築ではございません)

ザ・プリンス
京都宝ヶ池

京都のオアシスとも言える閑静な洛北の地に佇む「ザ・プリンス 京都宝ヶ池」は、村野藤吾の最晩年の作品。彼が生涯をかけて培った多彩かつ独創的な技法を、建物のそこかしこで見ることができ、圧巻の建築美を放つ外観はもとより、ロビーや客室のインテリアなどの細部にいたるまで優雅な曲線美にあふれています。日本庭園に建つ数寄屋造りの茶寮では、滝の流れる音や虫の声に耳をそばだて、他に類を見ない楕円形の宴会場では、9mもの天井高と森林をイメージしたモザイクタイルの壁面の壮麗さに息を呑む。洛北の自然に寄り添う静謐な空間に身を投じる贅沢なひとときをお過ごしいただけるホテルです。

喧騒から隔絶されたドーナツ型のホテル棟

緩やかなカーブを描く猫足の家具

王朝絵巻のように壮麗な雰囲気の宴会場

四季折々の風情を感じられる日本庭園の茶寮

企画監修・動画解説

石田潤一郎

本企画は、昭和から続く西武プリンスホテルズ&リゾーツの歴史ある建築物のうち、昭和の建築界を代表する巨匠・村野藤吾氏の手がけた「ザ・プリンス 箱根芦ノ湖」「伊豆長岡温泉 三養荘」「ザ・プリンス 京都宝ヶ池」について、建築の歴史や魅力をみなさまに深く体感いただくことを目的としています。村野藤吾氏の技法の多彩さと、それを伝統として受け継いできた各ホテルの歴史をご体感ください。

Profile 工学博士。武庫川女子大学建築学部教授、京都工芸繊維大学名誉教授。京都大学大学院博士課程修了。専門は建築史、都市史。主著に「関西の近代建築」「村野藤吾の住宅デザイン」(共著)など。

石田潤一郎
読売新聞社提供